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名も無き言葉たち 散文 詩
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一番だったものを
捜し求めて
あれやこれや
手を替え品を替え

これじゃないの
あなたじゃないの
足りない 違う
もういいの

思い描いて見つからず
目の前にして落胆し
飽きが来て捨て去る

たくさんの魅力を見つけず
あらゆるものを無視し
好奇心を放棄する

これじゃないの
あなたじゃないの
足りない 違う
もういいの

一番じゃないものは
すべて二番目で
一番じゃないものは
すべて価値がなくて
一番じゃないものは
心の中に入らない

まるで劣化したもののよう
まるで崩れたもののよう
興味なさそうに
一番じゃないものを眺める目

手をつけ品を替え
心の冷えるまま
どこにいくかもわからず
手を伸ばしては
掴みかけては捨てる代替品

拍手[2回]

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マスメディアが
「見世物小屋」になって
「劇場」と「日常」の
境目はなくなった

僕ら呆けてどうしたんだろう
怒りは「見世物」に
嘆きは「幸福への媚薬」に
嘲笑は「優越感」に
麻薬みたいに覗き趣味
脳に打ってないと
次は我が身の不幸

浮世離れの政治家は
大見得啖呵熱弁ふるい
裏じゃマスゲーム考え
金勘定の団体戦

怒りと罵倒とお祭りと
正義の定義は辞書にのみ
情報と妄想と与え繰り返し
金をポケットに突っ込む

詐欺師は笑い
正直者は踊り続ける
利己主義者の正義に
楽天家すら憤る

喪失者は窮鼠と化す
笑う猫を噛み千切れ
猫は逃走 魚を咥え
隠れて食して肥満体

失うものなどないのだと
勇気と絶望感の皮肉
露ほども感じない成金どもは
塔の上からせせら笑う

博打を打てよ
待てども転落
命を削れ 知恵を絞って
乾坤一擲 さあ笑え
鼠は牢をかじり続け
脱出の夢を見る

拍手[2回]

染み渡ったように
コトノハは降り注ぐ
落ちてはじけ
見つけていく煌き

生まれ変わり
愛を知り
ぬくもりを握る
抱きしめた熱は
潤いに満ちた命

明日の不安など
未来の断裂など
怖くなくなるほど
満ち足りる

声の浸食止まらず
柔らかな輪郭浮かべ
飴玉を舐める
淡さは風車

踏んだ足音
雲を切り開く
伏目がちの瞳
光に誘われる

変革と虹
手をとり
存在を受け入れる
自然に
ごく当たり前に

存在の無に耐えられず
一秒でも長く
欲しいと思う
巡らせる存在に
ラブソングは響き渡る

あなたとともに
あなたの声に心傾け
あなたの笑顔とともに
幸せを作っていく

拍手[2回]

目的と目標は
あるだけでは意味がなく
そこにあなたがいるなり
誰かがいるなり
充実するなり
達成感があるなり
達成可能であるなり
繋がっていくものがないと
たどり着けないのです

頑張る君を見ています
人と向き合おうとする
強い心に感動しています
苦手なメールを送り
他人に本心を伝える言葉を
懸命に使い
慣れないことをたくさんし
嬉しさも辛さも精一杯

歌や詩が響く心になり
お揃いの小さなものに神経を使い
灰色の世界に色が差し込み
君は一歩ごとに新しい場所へ
新しい自分へ

新芽は光を浴びて伸び伸びと
大地へ空へ手を広げていく
走り体から吹き出る汗が
心地よいと感じるでしょう
踏みしめる土の香りが
美しいと感じるでしょう
血の滲んだ涙の滲んだ土は
新しい芽を育てる栄養となる

ごらん 世界は美しい
醜いものに溢れていても
薄ら笑いの下衆どもが多かろうと
彼らに負けてもよいほど
価値がない世界ではないのです
戦うだけの価値がある世界

季節はずれの真夏の雪
降り積もった雪原に神風は吹き
霞の薄い一枚もかからないほどの
手のひらに近い星空
瞳に焼きつくほどの輝きは
心にどこまでも落ちて
一番深いところで溶けるでしょう

拍手[2回]

白と黒は出会い
黒は嘆きを差し出し
白は喜びを差し出した

白は黒の嘆きを食い
傷を知ろうとした
黒は白の喜びを受け
氷の身を炎で焼いた

互いに身を切り
流れる血を交わらせ
新たな世界の理を
創ろうとした

黒は直角しか知らなかった
白は円を知っていた
まったく違う理で
殺すことなく
白は黒を知ろうとする

白の世界を知らない黒は
白の世界を夢描いていた
甘くはなく
心地よくはなく
微かな香りと
芽吹く若葉だけだった
花はなく
何が見えるかもわからず
黒は白の世界に耳を傾ける

新しい世界の理は
まっさらな花園の中に創る
ここが私たちの場所だと
白は黒へと言った

黒は白を愚弄もせず
いつも浴びせる
罵声の言葉すら出せず
白の言葉に耳を傾ける

見果てぬ夢のように
桃源郷のように
眉唾で児戯めいた矛盾のように
世界の理は脆くも儚い

黒は白へ伝える
世界の絶望と悲しみを
白は黒へ伝える
世界の喜びと移り変わりを

永遠などありはしない
だからこそ
伝えるべきものを創り
我らは世界の理を創るのだと

喜びのみでは呆けてしまう
悲しみだけでは朽ちてしまう
世界は矛盾を自然に抱える
愚かさゆえの変革を繰り返す

白と黒は出会い
黒は嘆きを差し出し
白は喜びを差し出した

白は黒の嘆きを食い
傷を知ろうとした
黒は白の喜びを受け
氷の身を炎で焼いた

その形は傷つけあいのようで
まるで激しい炎であった
黒は雨を呼び白を溺れさせ
白は晴れを呼び黒を日で焼いた
その形は傷つけあいのようで
まるで激しい愛であった

拍手[2回]

最も価値のあるものは
見つけるものではなく
創り出すものだ

私は君に与える
戦いの運命を
私は君に教える
安らぎの地のことを

私は闘争を繰り返す
君の中に
新たな価値を創るために
私は安らぎを勝ち取る
君の瞳に
現実を教えるために

何度も繰り返す
聞かせるためではなく
心に刷り込ませるために
新しい力と源を
込めていくために
言葉と行為を繰り返す

私は地図を持つ
君の行く先を示す地図
だが導いても
歩いていくのは君だ
自分の足で
自分にとって
未到の地へ

付いてくるがいい
精神が尽きるまで
信じるがいい
勇気の燃え上がるままに
そして
戦え
世界の境界線を
壊すために

拍手[2回]

散らばったパズルを前に
手を地に這わせ
ピースを探す
どれをどうはめれば
この箱にぴったりと収まるのか

無数のピースを
箱にすべて埋めるには
一日だけでは足りない

過ぎていく時間
見つめる目に怯える

優しく見守ってくれる目が
いつ呆れ返り
冷たくなるのか
怖くて怯える

待っていてね
上手に詰めるから
心は焦り
出来ない日々に
失敗を責める
自縄自縛

たったひとつの思い
あなたに好きでいて欲しい
雨を降らす私を
雨に濡れる箱の中を
パズルのピースを
涙が出そうなほどの必死さを
見捨てずにいて
傍にいて 傍にいて

指先は汚れ
あなたに触れるとき
汚れはしないかと
あなたが顔を背けはしないかと
嫌われなくない
何度もひっくり返しては
詰めなおす
箱詰めパズル

愛しているから
大好きだから
上手に詰めるから
難解な 見たこともない
箱詰めパズルの前で
涙の出そうなほどの思いで
愛しさを詰めようと
大好きを詰めようと
必死に 必死に
詰めては引っくり返す

行かないで
捨てないで
お願い お願い
きっと上手にやるから
きっと上手にできるから
すべて綺麗に詰めることができたら
頭を撫でて
よく出来たねと
心から笑って 褒めてください
あなたへの気持ち一つで
生まれて初めて出来た
箱詰めパズルの前で

拍手[2回]

何かを根拠にしているわけでもなく
信じられる決定的なものもなく
一人だけ ただ一人だけ
自分が感じた想いだけを信じて
弱くなり折れてしまいそうな
無数の不安と戦い
祈りにも似た強さを持つ

それは自分の信じたものを信じること
信じさせてもらうよりも
目をそらさずにいること

流れるものの無限の中で
一人だけ ただ一つだけでも
流されず 強く自身を持って
戦い 引かず 魍魎の陰にも怯えず
手をかけられる 疑心の囁きを振り払う

天もなく 地もない
苦しみに耐えられず
土煙すらたつような 脱兎の群れの中
座して目を閉じ 幻を絶っていく

悲しみや痛みの幻影は
いくつも群れをなして心を覆う
理由を置き去りにして 心をくすぐる
戦う勇気を奪い去ろうとし
冷たい空気へと晒していく

光までの長い長いトンネル
暗闇を手探りで進む時間
何を信じていいのか
何も信じられないまま
ただ一つ ただ一人 自分だけ
信じたもののために戦う

拍手[1回]

刹那の快楽さえ
脅迫されたように区切らる
花束を持つ乙女は
追い立てられ狩られる

やがてしわがれていく声に
純潔は薄れ 食いつくされる

略奪者は命令する
花などまた咲くものだ
花を摘み取れ
飾り立てろ
金を得ろ 生活を豊かに

顔中を花の色素で塗った
老人老婆を見つめながら
服を破かれた乙女たちは
頬を一筋の涙に濡らす

枯れてくる花園で
昔の栄華の中で
まだはしゃぎたてる
老人たちは命令する
お前たちも
私たちのように幸福に

乙女たちの悲しげな瞳は
ひとつも届かずに
殺しきった悔しさなど
一言も発せられず

老人たちは口々に
乙女は死に絶えた
純潔は失われた
嘆かわしい嘆かわしい

頬に塗り血色をよくするための
紅をつくるために
紅色の花ばかり摘んでいく老人たち

憤慨した乙女は
自らの心臓を取り出し
花へ散らす

なんて素晴らしい紅
喜び摘み取り
踏み散らす

血の色と区別も付かぬ
亡者になれ果てる
老人たちは命令する
今が大事だ
将来を見据えろ
私たちのように
幸福になればいい

乙女たちは一人
また一人と消えていく
生きる希望を踏み散らすのなら
復讐と呪いを込めて
私たちの今日を摘もうと

拍手[2回]

球体ガラス 水滴落ちる
水しぶきのような
あの日の曇りが
落日さえ 消去し
星のような光だけ

無機的な笑顔
背徳と痛みと血痕
純水の中に落ちて広がる
明日なき希望たち

薄い膜の上を
砂塗れの箱は滑り落ち
傷をつけ 危うく
球体ガラスは転がる
脆くなった 薄い膜の上を

高く高くと
広く広くと
出よう出ようと
球面を走り走り
遠く 脱出 元通り
球体の中の
球体ガラス

ざらついた砂の中で
大きな鉄片に衝突
ひびの入った
危うい球体ガラス

割れれば ナイフ
やがてこぼれ出て
柔らかな肉を傷つける
水しぶきのような
水滴ついて
あの日の曇り
見つけていく

拍手[2回]

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