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名も無き言葉たち 散文 詩
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粋がっていた若者が
年を取って人の上に立ったら
うさんくさい大人になりやがった

あの日 大人に対して
自らを主張していた暴力性は
弱者を叩く力に成り代わった

すました顔して座ってる
椅子を誰にも渡さないと
死守して蹴落とそうとしているだけさ

棺おけまで逃げやがれ
全速力で 姑息に 蒙昧に
プライドだけが肥大した塊

いつの日か
批判を繰り返していた若者が
手に持った釘を自分に刺すのが嫌で
誰かへ打ち付けるようになるのだろうか

それとも ただ静かに
誰も傷つけず 何も主張せず
何一つ行動しない
ただ何者かに振り回される
存在になるのだろうか

明日などないと 絶望する人たちの
たくさんの屍の上に幸福はある
痛みを誰かに押し付け 笑いあう

あの日 大人に対して
痛みを主張していた若者たちは
弱者に痛みを押し付けるようになった

すました顔して笑っては
背中であざけりと卑しさを浮かべ
弄び不幸を与える喜びを知ったのさ

もうすぐ棺おけに入れる
理知的な感傷もなく
幸福は自らのためだけに

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暗く不安な顔
垂れた髪の隙間
覗く瞳 潤んでいた
空港のゲートを出たベンチで
座っていた少女

まるで世界に
否定されているかのように
まるで自分を
疎んでいるかのように

腕を組んで嬉しそうに笑う
タバコを吸って息を落ち着ける

不安が少し飛んだ顔
髪をかき上げてやると
空港の狭い喫煙所で
少し戸惑う少女

ようやく新しい
世界を迎えたかのように
ようやく想いを
確かめたかのように

雨雲がついてまわる少女に
眩しいほどの晴天が広がった

熱いほどの太陽で
熱いほどの口づけで
バスに乗り込んだ少女は
青年の手を握り
始まりを予感した

拍手[2回]

明日の朝には雪が降る
真夏の雷雨の後に
蒸し返すような水蒸気が
君を押し返すようにして

足跡をつけた子供たち
また夜に夢を見るのだろう
怖いお化けも出ずに
安心して深い眠りへ

猫は舌なめずり
あくびをして日差しを浴びる
季節はずれのストーブ
くるまってあたたまる

明日には真夏になるだろう
水遊びをして母が見守る
夕日が落ちたような光を散らし
手からはじけ飛ぶだろう

バイバイ 一日だけの真冬
明日の朝には溶けている
地下鉄の駅の前で
マフラーに包まれていた
あの子も もう見れない

きっとよくなる
白さが消えて
アスファルトの灰が街を覆っても
息を吸い 力強い瞳で空を見るだろう
時計は進んで一秒明日へと過ぎたとき
故郷で感じていた凍てつきもなくなり
この街本来のぬくもりに戻るだろう

踏みしめたタバコの吸殻を拾い上げ
携帯の灰皿に入れるあの子の横顔
彼に注意されてしぶしぶ拾っていた
仲良さそうに何処かへ行く
砂漠の駱駝に乗って何処までも
笑い合いながら行くのだろう

懐かしみに浸る時間も只一日
キラキラと輝いていた雪の結晶も
敷き詰められる間もなく
車輪と人に汚されて
見る影も無く 手の平に落ちても
見る間もなく 息がかかっただけで
溶けて甘く真っ白に溶けていった

終わったね 胸にとどめておこう
たった一日だけあった真夏の雪を
故郷で毎年見ていた あの景色を
想い出などと呼べるものが無くとも
匂いだけ 切なく鼻をくすぐった

子供たちは次の日
踏みしめるように濡れた路面を走り
友達と一緒に学校へと急いだ
いつもの通り

拍手[1回]

数々のものを塗り替えて
数々のものを与えて
数々の認識を多様にする

ただ一生懸命に
ただ熱心に
ただ懇々と

君がどのように否定しようとも
君がどのように闇を見ようとも
数々の事実を作り上げて
数々の喜びを与えて
数々のぬくもりを刻む

たくさんの言葉よりも
たくさんの事実を
たくさんの恐怖の勘繰りよりも
たくさんの笑顔の時間を

否定してもしきれない
闇に塗り替えようとしても出来ない
たくさんの笑い顔と
たくさんの幸せを

ただ一生懸命に
ただ熱心に
ただ懇々と

拍手[2回]

一番だったものを
捜し求めて
あれやこれや
手を替え品を替え

これじゃないの
あなたじゃないの
足りない 違う
もういいの

思い描いて見つからず
目の前にして落胆し
飽きが来て捨て去る

たくさんの魅力を見つけず
あらゆるものを無視し
好奇心を放棄する

これじゃないの
あなたじゃないの
足りない 違う
もういいの

一番じゃないものは
すべて二番目で
一番じゃないものは
すべて価値がなくて
一番じゃないものは
心の中に入らない

まるで劣化したもののよう
まるで崩れたもののよう
興味なさそうに
一番じゃないものを眺める目

手をつけ品を替え
心の冷えるまま
どこにいくかもわからず
手を伸ばしては
掴みかけては捨てる代替品

拍手[2回]

マスメディアが
「見世物小屋」になって
「劇場」と「日常」の
境目はなくなった

僕ら呆けてどうしたんだろう
怒りは「見世物」に
嘆きは「幸福への媚薬」に
嘲笑は「優越感」に
麻薬みたいに覗き趣味
脳に打ってないと
次は我が身の不幸

浮世離れの政治家は
大見得啖呵熱弁ふるい
裏じゃマスゲーム考え
金勘定の団体戦

怒りと罵倒とお祭りと
正義の定義は辞書にのみ
情報と妄想と与え繰り返し
金をポケットに突っ込む

詐欺師は笑い
正直者は踊り続ける
利己主義者の正義に
楽天家すら憤る

喪失者は窮鼠と化す
笑う猫を噛み千切れ
猫は逃走 魚を咥え
隠れて食して肥満体

失うものなどないのだと
勇気と絶望感の皮肉
露ほども感じない成金どもは
塔の上からせせら笑う

博打を打てよ
待てども転落
命を削れ 知恵を絞って
乾坤一擲 さあ笑え
鼠は牢をかじり続け
脱出の夢を見る

拍手[2回]

染み渡ったように
コトノハは降り注ぐ
落ちてはじけ
見つけていく煌き

生まれ変わり
愛を知り
ぬくもりを握る
抱きしめた熱は
潤いに満ちた命

明日の不安など
未来の断裂など
怖くなくなるほど
満ち足りる

声の浸食止まらず
柔らかな輪郭浮かべ
飴玉を舐める
淡さは風車

踏んだ足音
雲を切り開く
伏目がちの瞳
光に誘われる

変革と虹
手をとり
存在を受け入れる
自然に
ごく当たり前に

存在の無に耐えられず
一秒でも長く
欲しいと思う
巡らせる存在に
ラブソングは響き渡る

あなたとともに
あなたの声に心傾け
あなたの笑顔とともに
幸せを作っていく

拍手[2回]

目的と目標は
あるだけでは意味がなく
そこにあなたがいるなり
誰かがいるなり
充実するなり
達成感があるなり
達成可能であるなり
繋がっていくものがないと
たどり着けないのです

頑張る君を見ています
人と向き合おうとする
強い心に感動しています
苦手なメールを送り
他人に本心を伝える言葉を
懸命に使い
慣れないことをたくさんし
嬉しさも辛さも精一杯

歌や詩が響く心になり
お揃いの小さなものに神経を使い
灰色の世界に色が差し込み
君は一歩ごとに新しい場所へ
新しい自分へ

新芽は光を浴びて伸び伸びと
大地へ空へ手を広げていく
走り体から吹き出る汗が
心地よいと感じるでしょう
踏みしめる土の香りが
美しいと感じるでしょう
血の滲んだ涙の滲んだ土は
新しい芽を育てる栄養となる

ごらん 世界は美しい
醜いものに溢れていても
薄ら笑いの下衆どもが多かろうと
彼らに負けてもよいほど
価値がない世界ではないのです
戦うだけの価値がある世界

季節はずれの真夏の雪
降り積もった雪原に神風は吹き
霞の薄い一枚もかからないほどの
手のひらに近い星空
瞳に焼きつくほどの輝きは
心にどこまでも落ちて
一番深いところで溶けるでしょう

拍手[2回]

白と黒は出会い
黒は嘆きを差し出し
白は喜びを差し出した

白は黒の嘆きを食い
傷を知ろうとした
黒は白の喜びを受け
氷の身を炎で焼いた

互いに身を切り
流れる血を交わらせ
新たな世界の理を
創ろうとした

黒は直角しか知らなかった
白は円を知っていた
まったく違う理で
殺すことなく
白は黒を知ろうとする

白の世界を知らない黒は
白の世界を夢描いていた
甘くはなく
心地よくはなく
微かな香りと
芽吹く若葉だけだった
花はなく
何が見えるかもわからず
黒は白の世界に耳を傾ける

新しい世界の理は
まっさらな花園の中に創る
ここが私たちの場所だと
白は黒へと言った

黒は白を愚弄もせず
いつも浴びせる
罵声の言葉すら出せず
白の言葉に耳を傾ける

見果てぬ夢のように
桃源郷のように
眉唾で児戯めいた矛盾のように
世界の理は脆くも儚い

黒は白へ伝える
世界の絶望と悲しみを
白は黒へ伝える
世界の喜びと移り変わりを

永遠などありはしない
だからこそ
伝えるべきものを創り
我らは世界の理を創るのだと

喜びのみでは呆けてしまう
悲しみだけでは朽ちてしまう
世界は矛盾を自然に抱える
愚かさゆえの変革を繰り返す

白と黒は出会い
黒は嘆きを差し出し
白は喜びを差し出した

白は黒の嘆きを食い
傷を知ろうとした
黒は白の喜びを受け
氷の身を炎で焼いた

その形は傷つけあいのようで
まるで激しい炎であった
黒は雨を呼び白を溺れさせ
白は晴れを呼び黒を日で焼いた
その形は傷つけあいのようで
まるで激しい愛であった

拍手[2回]

最も価値のあるものは
見つけるものではなく
創り出すものだ

私は君に与える
戦いの運命を
私は君に教える
安らぎの地のことを

私は闘争を繰り返す
君の中に
新たな価値を創るために
私は安らぎを勝ち取る
君の瞳に
現実を教えるために

何度も繰り返す
聞かせるためではなく
心に刷り込ませるために
新しい力と源を
込めていくために
言葉と行為を繰り返す

私は地図を持つ
君の行く先を示す地図
だが導いても
歩いていくのは君だ
自分の足で
自分にとって
未到の地へ

付いてくるがいい
精神が尽きるまで
信じるがいい
勇気の燃え上がるままに
そして
戦え
世界の境界線を
壊すために

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