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名も無き言葉たち 散文 詩
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明日の朝には雪が降る
真夏の雷雨の後に
蒸し返すような水蒸気が
君を押し返すようにして

足跡をつけた子供たち
また夜に夢を見るのだろう
怖いお化けも出ずに
安心して深い眠りへ

猫は舌なめずり
あくびをして日差しを浴びる
季節はずれのストーブ
くるまってあたたまる

明日には真夏になるだろう
水遊びをして母が見守る
夕日が落ちたような光を散らし
手からはじけ飛ぶだろう

バイバイ 一日だけの真冬
明日の朝には溶けている
地下鉄の駅の前で
マフラーに包まれていた
あの子も もう見れない

きっとよくなる
白さが消えて
アスファルトの灰が街を覆っても
息を吸い 力強い瞳で空を見るだろう
時計は進んで一秒明日へと過ぎたとき
故郷で感じていた凍てつきもなくなり
この街本来のぬくもりに戻るだろう

踏みしめたタバコの吸殻を拾い上げ
携帯の灰皿に入れるあの子の横顔
彼に注意されてしぶしぶ拾っていた
仲良さそうに何処かへ行く
砂漠の駱駝に乗って何処までも
笑い合いながら行くのだろう

懐かしみに浸る時間も只一日
キラキラと輝いていた雪の結晶も
敷き詰められる間もなく
車輪と人に汚されて
見る影も無く 手の平に落ちても
見る間もなく 息がかかっただけで
溶けて甘く真っ白に溶けていった

終わったね 胸にとどめておこう
たった一日だけあった真夏の雪を
故郷で毎年見ていた あの景色を
想い出などと呼べるものが無くとも
匂いだけ 切なく鼻をくすぐった

子供たちは次の日
踏みしめるように濡れた路面を走り
友達と一緒に学校へと急いだ
いつもの通り

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