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名も無き言葉たち 散文 ボツコーナー 掃き溜め場 本家はこちらhttp://poemoon.seesaa.net/
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道がある
大切にしたいものがある

歩く中で
触れ合える距離
抱き合える距離
会話できる距離
見られる距離

思い通りにはならない
思い通りには変えられない
人には人の道
人には人の思い

思い通りにいかせる
思い通りに変えていく
自分には自分の道
自分には自分の思い

一緒に見れたら楽しい
一緒にできたら嬉しい
分かち合い与え合い
共にいられたのなら

瞬間瞬間が
大切にしたい想い出になる

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ふわっとふくらんで消える
たくさんあったような
そうではないような
大切だったような
あいまいではないもの

ぷくりとふくらんで弾ける
いくつかあったような
そうではないような
守っていたような
忘れられなかったもの

思い出してみて
繰り返してみて
夢のように
泣かないように
手をとって
ぬくもりの中に
ふくらんで消えていく
あいまいではないもの
忘れられなかったもの

この世界に存在したもの

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悲しみは積み重なっていくものか
薄い膜が何枚も折り重なり
消えずにいつまでもあるものか

シャワーを浴びながら
むせ返ったような咳をひとつ
嗚咽にも似た咽びをひとつ
排水溝に吸い込まれて
汚水がたまったように泡をたたえる

苦しみは積み重なっていくものか
薄い憤怒が悔やみを抱き込み
薄れずにいつまでもあるものか

世界の声は小さく広く
弾き返す脳が壁を作る
涙にも似た冷や汗がひとつ
出血にも似た日々がひとつ
今日という怠惰に落ちて
濁った心は魂を劣化させる

雨とは似ても似つかず
酸性の液体が体を溶かす
声を溶かし勇気を溶かし
誰かの輝きを奪い去る

しがみ付いた手の平に
握られたうろこ雲
滲む雫は指の間から漏れて
雨とは似ても似つかず地に落ちる

眠る種は何かもわからず
種があるかどうかもわからず
瞳は潤み見えなくなりそうで
雨とは似ても似つかず降り注ぐ

やがて薄れる切なさは
時間よりも心の強さで
雨上がりの虹のように
一瞬輝いて人に焼きつき
雨とは似ても似つかず

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私は時折言葉を失う
私は時折立ち尽くす
あなたの前で
あなたという心の前で
悔やみや傷つきの前で
私は時折立ち尽くす
私は時折言葉を失う

私はあなたの笑顔を見たい
私はあなたの喜びといたい
それなのに私は間違えて
それなのに私はから回る
それでも私は
だからこそ私は

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誰かの失敗を見て
よかったと思う心

自分が成功して
こいつより
上にいこうと思う心

こいつより
自分は優れていると
見下す心

可哀想だねと
人を見て
自分を安心させる

少し間違えば
心の中で
蹴落とそうとしている

もし幸せなら
そうしただろうか

さもしい心で
悲しい心で
憎しみの心で
誰かの恨みを煽る

もし幸せなら
そうしただろうか

いつのまにか
敵だらけ

いつの間にか
笑顔がなくなる

幸せは
分かち合うもの

そうして
本当の孤独と憎しみが
消えていくもの

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耳元で歌ってくれる君。
僕の知らない歌ばかりで。
でもとても心地がいい。

そのまま、歌っていて欲しくて、
歌を止める君に、もう少しだけ、と言う。
歌が好きだから、と言う君。
瞳を閉じて、この時間がとても幸せなことに気がつく。

いつもはきつい抱擁で君に触れたいのに、
歌っている時だけは、
君の口元から零れる、
優しい音色に耳を傾けていたくなる。

「大好きみたいだ」

独り言のように、ぽつり言うと、
君は何か言った? と歌を止める。

「なんでもない」

微笑みながら君を見つめると、
また君は歌いだす。
今なら願いが通じるんじゃないか。
木漏れ日の中でうたたねをするようなぬくもりで、
そっと神様に願う。

「二人が、愛し合えますように」

きっと、もっと幸せになれるだろうから。
君の歌を聞いていられるから。
だから、伸ばそうとした手を胸元に置いて、
君への想いを、小さく口に出す。

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小さな箱に詰められた
小さなセカイを信じて
あちらの箱は美しいかしら
思った途端
手にしていた箱を捨てる

新しい箱の中は
新しくて綺麗で
また箱の中に詰め込んで
小さなセカイを信じて
汚れてくると
あちらの箱は美しいかしら
思った途端
手にしていた箱を捨てる

箱の中は夢のセカイ
永遠に続くセカイのよう
お菓子がたくさん散りばめられて
甘いものが大好きなの
甘いものがないと生きていけない
新しい箱はどこ
幸せにしてくれる箱はどこ
箱の中を覗く瞳は好奇心
汚い箱はもういらない

あちらの箱は美しいかしら
思った途端
手にしていた箱を捨てる
部屋は捨てた箱で埋まっていく
汚い箱はいらない
甘いものが入っていない箱はいらない
捨てたセカイは思い出にもならず
信じたセカイは裏切りになる

だって
甘いものがないんだから

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自己憐憫と自己完結
思考はぐるぐる

わたしはかわいそう

棒の回りをぐるぐる走る

わたしはここから出られない

棒から鎖を外してあげると
ぴたりと立ち止まる
棒から離れて
周囲を歩く
物音に驚き棒へと戻る

わたしは外では生きられない

棒に鎖をつけてあげる
元気よく走り出し
棒の回りをぐるぐる

わたしはかわいそう
わたしはここから出られない

棒から外してあげるよりも
とても元気に走り回る

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知恵なき者は凍え
知恵を生かすものには毛布を

考えぬものには
宿すら見つからない

あたたかな暖炉にあたる
支配者たちには
火をつけるまでの
途方もない苦労は知らない

分け隔てられた
支配者たちの感覚は
社会を独善的に蝕んでいく

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夕日のように
染まりきった柿木に
カラスが一匹
止まっている

啄むことはなく
見張るように
くまなく辺りに
目を配らせる

庭先で男が一人
カラスを眺める
互いに一言も言わず
互いに柿の実の
色を目に映している

路面電車が揺れ
音を響かせたとき
カラスが一鳴き
柿木を揺らし
空に飛び立った

男は柿の実を
二つもぎ取り
一つはかじる
甘く少しだけかたく渋い
もう一つを
台所で剥き
妻のために切りそろえ
テーブルにおいた

頬張って
柿音聞こえて
見つめ合う
一声かけ合い
渋み忘れる

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