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名も無き言葉たち 散文 詩
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朝が来る前に雨が降る。

夜を引き裂いて、
    一粒一粒叩きつけられながら。

昨日まで見た景色を失って、
 記憶の欠片は脳から飛び去って、
    少しずつ忘れ、
     少しずつ再構成されて、
      少しずつ違う自分になっていく。

      喪失すらもわからずに、
     喪失を繰り返し、
    大地につけた足跡は、
   風によって洗い流されていく。

   君を憎んだ日々はどこにいったのだろう。
    あんなに愛していたのに。
君を失い悶え狂った日々はどこにいったのだろう。
    あんなに想っていたのに。

引き裂かれるような苦しみの味が、
 いつの間にか咲いている
    たんぽぽの根にも似て。


 殺されそうだよ。


雨水に ふやけた 柱に 刺さっている 
        錆び釘に。
あいつが足の小指に突き刺さって
       二度と動けなくなりそう。

      朝に向かう前に、
     雨に打たれて冷たくなる。

   朝が来る前に雨が降った。

 夜を爪の先で引き裂いて、
剥がれた爪は指から離れず。
引きちぎってしまいたいのに、
躊躇してしまう。

朝日が昇ったら、歪に治っていくだろう。

そうして
  臆病なまま
    何も出来ないまま
      決められないまま
  進まないまま、酷く傷だらけの
歪んだ体が
   出来上がってくる。

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