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名も無き言葉たち 散文 詩
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カツーン カツーン カツーン
金属の音が鳥や風の音よりも
高く早く広がり響いている
決して早くはなく

ゆっくり
間を置き
ゆっくり

静かな霧雨の中
雨だれが屋根から落ちる速さに似ている
急ぐことはないが
瞳には憂いがある
何故そう見えるのか
決して勘違いではない
沈んだ しかし妙にきらめき
真夏の湖の奥底のような
暗くも美しいゆらぎ

カツーン カツーン カツーン
鋼鉄の杭を鋼鉄の金づちで打ち付ける
鋼鉄の意志と魂で
その腕や体は弱り果てても

ゆっくり
間を置き
ゆっくり

カツーン カツーン カツーン
確かに見える内なる炎のほとばしりが
夜の帳に散りばめられる
星の鐘を打つようで

ゆっくり
間を置き
ゆっくり

カツーン カツーン カツーン

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指先から零れ落ちる  
探り出して手を伸ばして

ボロボロボロボロ

砂ではなく土が乾いて落ちていく

わたしはもっとしっとりとした形であったのでは

私の指先はもっと器用に糸を紡いでいたのでは

いつの間にか絹の結い方がわからなくなった

毒が森を支配しだした時

私は黙り込んだ

君への言葉は想うことはあったはず

我らはいつの間にか私になったのだ

もはや言葉を考えて伝えられなくなった

懺悔をする前に伝えなければいけない言葉がある

後悔する前に伝えなければいけない言葉がある

その言葉

では

なく

突き付ける覚悟だったのだ

たゆたう絹の糸に見入る

紡げ紡げ

シルクの価値は今指先から流れ出ている

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恐、
瞬間的に欠けたと感じ、そこで伝えることをやめようとした。
そこに病も闇も同時に存在して死体の足先に触れたような、ぞっとするような冷たさが竜巻のような渦巻く速さで伝わってくるとは思いも知らなかった。
そもそもの欠落感は何だったのだろう。
恐ろしいのか、恐喝であったのか、強烈に似た衝撃であったのか、身のすくむような自発的な反応の中、両手は体を抱いていた。
見開き顔を上げなくては何も理知の欠片すら拾ないのに、硬直するたびに欠片が落ち、落ち、ガランと音すら立てて崩落する。

スナ、ハ、マ、
産まれたての頃に見た海が大きすぎて、音がざわめきたて、おそろしいそんざいだった。
目も明けられないほどの太陽の光が波の向こうにたどり着く水平線へと馬車がゆっくり走っていきそうで。
わかっているようで、何も。
すな、がさらさらと。
だから寝そべって、あたたかな、とても、あたたかな。
手も足も使って、わしゃわしゃと暴れるでもなく、溺れるでもなく。
かいがらを見つけた。
さがしていた人がいたから、さがした。
さがしまわってつかれたから、ねころがったよ。
白い、ちいさな、しろのような、さんかくの、かいがら。
あつめ、あつめた、あつ、あ、こぼれた、ひろってくれたひとがいた。
いつも、だきしめてくれる、ひと。
わらいかけてくれる、ひと。

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誇りし胸の滾る熱さに
立ち上がりし足の電撃に
かの雲の流れる速さの雷雲

思い至った距離の
思い至る限界の
笑えぬ笑わる恥部の知識に
流れる先の至らぬ思いの
至らぬ若さの先か

誇りし魂燃える行く末
震える立ち行く足の幼さに
未来霧の流れる大河の雷鳴

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あなたがいなくなった世界で言葉を失う
悲しい音だけ響いて笑えなくなる
雨傘を叩くような粒が涙で落ち続ける
取り戻せない時間が胸を削って抉って怖い怖い

壊れそうな空虚を時間を耐えられなくて
愛しさ余る名残を憎み切れなくて流そうとして
あなたを怒りで掻き消せればいいのにと胸握りつぶす

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ゆらり風揺れ霞噛む
ゆらり恋揺れ君を噛む
離れ揺れて涙落ち
知らぬ心が芽生え這う

少しだけ
少しだけ
知りたいと思った君の事
少しだけ
少しだけ
近づいたと思った君の事
勘違い
勘違い
知ったつもりになって
知らなかったんだ
君の事

ゆらり花揺れ香り飲む
ゆらり口揺れ瞳這う
離れ揺れて吐息落ち
気づく心が暴れ舞う

もう少し
もう少し
知れたらと思った君の事
もう少し
もう少し
近づきたいと思った君の事
臆病で
臆病で
知ったつもりになって
踏み出せなかった
君の事

忘れたくて焼き付く脳裏
きつく握る手の力は零れて

ゆらり時過ぎ別れ道
ゆらり言の葉消えてゆき
離れ揺れて震え泣き
見えぬ行く先傷の痕

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空蝉の香る秋の音終わりゆき
粉雪散らす冬染めに
足元見れば霜の降る
白髪に似たる青草たるや
空の澄んだ色艶を仰ぎ見る

遠く歩んだ道も背に感じ
新芽の息吹に耳すます
厳冬にしばれる肌の緊張に
君通り過ぎゆき想う焦がれ
目蓋の裏に浮かぶ青春よ
まだ燃え尽きぬ業火の胸なり

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例えばそれは誰かに毎日否定されることである
例えばそれは誰かに必要ないと毎日言われることである
例えばそれは誰かに邪魔だと毎日言われることである
例えばそれは誰かにお前はそれでは他では生きていけないと言われることである

どこで生きていけばいいのか どこだったら生き延びられるのか
この恨みは誰かを殺すことで完結するのか
この閉塞は自分を殺すことで終わらせられるのか
自分を語ることで誰かに嫌われ
自分がわからぬままに誰かにも見放される

例えばそれは誰かへ毎日話しかけらぬことである
例えばそれは誰かと一緒にいられる手段を持たぬことである
例えばそれは誰かが得ているものを毎日欲していることである
例えばそれは誰かにお前はそれでは他では必要ないのだと言われることである

どこで生きていけばいいのか どこだったら生き延びられるのか
この侘しさは叫ぶことでは何も届くことなく終わり
この悔恨はどこまで遡れば見つけることができるのか
自分を語ることで誰かに嫌われ
自分がわからぬままに誰かにも見放される

繰り返しじゃないのに
繰り返しているのに
どこかでいつも同じようで
繰り返したくないのに
繰り返しを終わらせたい

走るごとに空回りで詰まらなくなっていく
笑うごとに道化師になり誰かと離れる
壊れて壊れて飲まれるってそういう楽しさ
笑っていられるほど馬鹿じゃないさ 空も

天から流れてるのに 朝も昼も夜も
隙間から見ようとする か ら く り の
く り か え す く り か え し

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あなたは旅立っていくのですね
私を置いて
いずれ小さな私の存在は思い出さず
新しい道へと行くのですね
そうでしょう
いいでしょう
それが新たな道を選ぶということなのですから
いいでしょう
そうでしょう
道筋の違う明日があるということなのですから
新しい道へと行くのですね
いずれ大きなものたちを掴もうとせんがため
私を置いて
あなたは旅立っていくのですね

遠く遠くとても遠く
思い出せないほど走り出した時
私はあなたを見送ります
振り向くなどとんでもない
振り向かずに走りゆけば
私は思い出にもならずに
苦にもならならないほど消え去り出した時
必要のないほどに消える

あなたは旅立つべきなのです
我らを忘れ
いずれ年月の日差しの強さは忘れて
月夜の調べも知るのでしょうね
そうでしょう
いいでしょう
それが新たな命を選ぶということなのですから
いいでしょう
そうでしょう
命運の違う血路があるということなのでしょうから
勇気を抱いていくのですね
いずれ困難へと立ち向かおうとせんがため
我らを置いて
あなたは旅立っていくのですね

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私は私自身の許しを請えない
私は私自身を何者か知らない
空を見上げて雲間の光に心を潤わせても
私の立っている大地の土を知り尽くせない

上っ面の私は私以外のものを見つめて
中身の詰まらぬ私はいつも外へ求める

答えの見つからぬ答えを見つけようとし
惑い惑わされ迷い行き先もわからずに
抱いていたものの大事さもわからず
抱きかかえたものを捨てられもせず
笑おうとしていた励まそうとしていた

私は私自身の罪を背負えなかった
私は私自身を近くには見てなかった
涙を流して少しの慰みに心を潤わせても
あなたの立っている場所までは辿り着けない

坂を転がり落ちて私だけが傷ついていて
削れていく救いのない命は声達と離れ

誰かにしがみついて喚いていた時間を連れ戻して
迷い迷わされ千鳥足の行き先もわからずに
飲み込もうとしていたものさえ吐き出して
泣き崩れたものが何かも理解できず
誰かの手を繋ごうとした仲間だと思おうとした

光は見えているのに遠くに見える
光は当てられているのに寂しく感じる
私は見えているのに何もつかめずにいる
私はあたたかいのに

誰かの言葉が遠くて会話ができない
それでも誰かの声にしがみつきたくて
まだ命はここにある

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